連鎖のDCG

主にDCGについて書くブログだった。今はメギド72やVtuberに関してもちょっと書く。

「アウラ・ベンヤミンの切り札」語り

何のめぐり合わせか、「アウラベンヤミンと『わんこの卵』」なる小説をこのブログで公開し、あまつさえ『わんこの卵』自身にそれを朗読してもらえるという恩寵にあずかりました。

chain-dcg.hatenablog.com

 

で、なんとこのアウラベンヤミン、別の小説の主人公にしようとしていたキャラなんですね。

 

題してアウラベンヤミンの切り札」

フルダイブVRDCG(ヴァーチュアル・リアリティ・デジタル・カードゲーム)というちょっとSFなカードゲームの世界にアウラベンヤミンを出そうとしていたわけです。

まだ1話も完成してないのですが、途中で頓挫してもいいように、かつ描写を見つめ直す助けになるように設定語りしていこうかと思います。

 

主人公:アウラベンヤミン

アウラフルダイブVRDCG『レイガイア』にログインしてきたプレイヤーです。

黒を基調としたゴシック調の服装で、黒髪のアバターをしたアバタープレイヤーであり「アウラベンヤミン」という名前もハンドルネームです。

本名は作中で明かされることはないでしょう。

カードゲームとしてのレイガイアには赤、青、緑、白、黒の五色がカラーとしてありますが、アウラ元々は見た目通りの黒デッキ使いを想定していました。

ですが、どうにも主人公に考えていた青使いの少年のイメージがふわっとしか固まらず没になったので、一番キャラの濃くて言動をイメージしやすいアウラが青使いとして主人公にスライドしました。

 

アウラベンヤミンというキャラクター発想の起点は、私が過去にどこかで聞いた「少女の青春は世界と自分とを2つ否定して歩いていくものだ」ゴスロリファッションは男の目を引くためではなく、自分自身の心を慰めるために着るのだ」というニュアンスの2つの言葉です。

ここから考えを深め、アウラベンヤミンを「元々現実では肩身が狭く充実感の不足した生活を送っていたであろう少女が、ゴシックファッションのアバターを心の武装として、それにふさわしい態度を強固に演じることで、自分とゲーム世界を肯定して生きていけるようになった」というVR世界に対して自分なりの着地を得たアバタープレイヤー』としてキャラクターを定めました。

 

名づけの過程としては、まずゴシック服の少女の名前として「アウラ」という言葉をふわっと思いつき、この子はハンドルネームを絶対フルネームのような書き方で登録するだろうという確信からふさわしい苗字を探しました。

アウラでグーグル検索したらヴァルター・ベンヤミンと彼が提唱したアウラという概念がヒットしたので、渡りに船で「アウラベンヤミン」と名付けるに至りました。

なので、元々ベンヤミンを知っていて付けたのではなく、順序的には逆だったわけです。

ベンヤミンアウラに関する論述の「複製技術時代の芸術作品」については今読んでいるところです。 

ヴァーチュアル空間で、外見を複製可能なアバターにしているアバタープレイヤー達やVタレントたちにとってはアウラの再獲得が急務かもしれません。

 

レイガイアのルール概要

(DCGをある程度プレイされている人向けの簡単な説明になります)

基本はハースライクですがライフは25、デッキ枚数が50、レジェンド以外の同種のカードは4枚まで同時投入可能なところが違います。

デュエルマスターズのようにマナゾーンがあり、混色デッキが可能です。

通常のドローの他に、追加のドローかマナゾーンに山札の一番上のカードをマナとして置くかを選ぶ疑似的なリブートフェイズ(ウォーブレ由来)を搭載しています。

(レジェンドカードがマナゾーンに置かれてしまった場合は、1ターンに1度手札のカードとそのレジェンドを交換できるという共通の裁定を持ちます)

 

切り札その1:【絹の塔のシズ】

アウラベンヤミンの初期デッキ50枚は全て青のカードで構成され、しかも青の最高レアリティカードが2種類あるという大盤振る舞いなデッキです。(最高レアリティであるレジェンドカードはそれぞれの種類ごとにデッキに1枚まで投入でき、それより下のレアリティは4枚まで投入可能です)

 

そして、2種類あるレジェンドのうちの1枚が【絹の塔(きぬのとう)のシズ】です。

 

【絹の塔のシズ】青・ユニット・4コスト・レジェンド

 攻撃力3/体力3 種族:ベクス

能力

書の極理5:自陣のターン終了時、あなたの手札からカードを1枚選び公開する。このユニットは公開したカードの「書の極理」効果を得る。公開したカードのフレーバーテキストに「意味」が含まれる場合、このユニットを+0/+1する。

FT(フレーバーテキスト

あなたを成す物の中から、どれを示すのか選びなさい。 ~絹の塔のシズ~

 

極理とは手札や攻撃力、マナゾーンのカードの数などのいずれかを参照して、一定数以上なら効果が発動するというキーワード効果です。

「書の極理5」ならばプレイヤーの手札の枚数が5枚以上なら発動します。

私は、アバタープレイヤーにとって重要なのはアバターやそれに伴う設定という新たに加わった自分の側面も含めて、自分自身の持つ側面の何を相手に見せていくのかを選び出すことだと思っているので、アウラベンヤミンの切り札であるこのカードもそれに即したカードデザインになりました。

 

さて、種族:ベクスってなんやねんて疑問もあると思うのでお答えします。

ベクス族は人間とほぼ変わらない外見の種族ですが、特徴として全員が仮面をつけています。

で、仮面を継承すると能力をも継承できるというベクス族特有の性質があったりします。

絹の塔のシズも目元を覆うタイプの仮面をつけた少女です。

 

切り札その2:【凍計のアムタ】

アウラの2枚目の切り札は【凍計(とうけい)のアムタ】です。

 

【凍計のアムタ】青・ユニット・6コスト・レジェンド

攻撃力5/体力5 種族:数霊

能力

プロローグ/青の極理5:「極理」を除くキーワード効果を一つ選び、試合終了まで凍結する。

FT(フレーバーテキスト

凍結を司る数霊が、冷徹に役割を遂行する。

 

プロローグとは手札からカードを場に出したときに発動するキーワード効果であり、ハースストーンで言うところの雄叫び、シャドウバースで言うところのファンファーレに相当します。

で、凍計のアムタはマナゾーンに青のカードが5枚以上あれば極理系のキーワードを除き、キーワード効果一つを全て試合中無効化するという大がかりな効果です。

キーワードを削除するのではなく無効化するということや、自分の持つ効果を「プロローグ」の凍結で全て無効化できるというのも地味に重要ですね。

※種族:数霊(すうれい)というのはレイガイアの没構想にあった「数の精霊」の名残で、その時は絹の塔のシズも「数の極理」の使い手でした。

 

キャラクターモチーフはハリアーPのアイマス架空戦記作品「Romantic Sa.Ga」に登場する『八英雄ティアムタ』です。

「キーワード効果の凍結」という能力もティアムタが本気を出したらこんな感じになるだろうという予想から決めました。

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ティアムタは最初に倒された八英雄であり、プレイヤーにとっての「悪役」を演じ切れた最後の八英雄でもあります。

Romantic Sa.Gaは765プロのアイドル達が超絶予算を投じて作られたフルダイブ式のRPGに入ってプレイヤーとして戦う話なのですが、ゲームなのでプレイヤーが早い段階でボスと戦う時は攻略しやすいように八英雄であっても能力を抑えた性能で戦うというリミッターがゲーム仕様に設けられていました。

作中でもティアムタが独善的に街を支配をしていたボスキャラとして倒される段階まではそのリミッターが守られているように見えていました。

しかし、八英雄クラスの高度AIを持つキャラクターはアイドル達がゲームを始めた段階で自我を獲得していて、性能リミッターを外して戦えるようになっていたことが後に判明します。

つまりティアムタは最初から本気モードが可能だったわけです。

ではなぜリミッターが守られているかのように見えたかというと、ティアムタが自分の意志で「ゲームの設計通りの強さでプレイヤー達と対峙する」ことを選んだからです。

プレイヤーとNPCという冷徹な線引きを命がけで守ったってことなんですよ!!メチャメチャかっこよくないですか!?!?かっこいいですよね!!!!

 

…こういう線引きを一番強く守れるキャラということで、アウラの第二の切り札は、NPCという役割に徹することができる、VR世界でのアウラの守護者としての【凍計のアムタ】なのです。

 

 

47話で更新が途絶えていますが……ぜひニコニコ動画で「Romantic Sa.Ga」を見てみましょう。VtuberやVRchatが隆盛した今だからこそ見えることもあるかもしれません。

※ティアムタの登場は主に7、8話、ティアムタについて言及があったのは27話です。